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2025

拓銀 頭取室に貼られていた北斗窯タイル

2025.10.12

江別セラミックアートセンター 小森忍記念室にて撮影

 小森忍さんという中国陶磁器の釉薬研究の第1人者という方がいらっしゃいます。その方の記念室が江別セラミックアートセンターという施設の中にあり、私はそこで大変なものと対面してしまいました。お椀や鉢、香炉などの展示を眺めていた私は、壁面に貼られていた施釉タイルの説明書きの前で体が硬直してしまったのです。

 「北斗窯タイル 1960年製 寄贈:株式会社北洋銀行 復元:株式会社畠山レンガ施工 ~このタイルは、1960(昭和35)年の旧北海道拓殖銀行(現 北洋銀行)本店の新築に際して、頭取室内壁用に制作されたものです。~2006(平成18)年から始まった北洋銀行本店の解体に伴い消失の恐れがあったため、同年11月に現地からの剥ぎ取りを行い~」 

 当時、拓銀本店の解体の事は知っていましたが、その中に小森さんの施釉タイルが貼ってあったとは、ましてや小森忍さんのことも全く存じ上げなかった私でした。

絵でみる新本店「北海道拓殖銀行本店新築記念 パンフレット」 株式会社北海道拓殖銀行/昭和36年6月

 私はそのタイルが貼られた様子が気になって、古い建築雑誌をいくつか開いてみました。結局のところ、頭取室内の写真は見つけることができませんでしたが、新築記念パンフレットの中にあった「絵でみる新本店」によりますと営業室真上の3階南西角に頭取室があり、そこに施工されていたことがわかりました。

 この時代は焼物の材料が再び脚光を浴びて、積極的に採用がされ始めたころです。ノーザイのセラミックブロックは1964年から商品化されて普及しましたので、拓銀頭取室の施釉タイルは椅子に座った頭取の背景で新鮮な表情を放っていたことでしょう。

 それにしても、ここに施工された小森さんのタイルが人々から忘れられずに救出されたという奇跡が信じられません。先頃解体が完了した北海道銀行本店内にも貴重な建築材料があったことを声を大にして指摘しておきたいと思います。
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