建築年表 公共編

1955

北海学園大学 校舎

1955年

札幌市豊平区旭町4丁目

現存

北海道大学工学部教授 大野和男

戸田組

北海学園大学同窓会 豊平會報Vol.93 2024年発行より

 北海道大学の大野和男先生は、戦後の学校建築をいくつか手掛けられました。煉瓦造の設計ばかりだったのは戦後の物資不足が影響していたのかも知れません。この北海学園大学の新校舎は鉄筋コンクリート造ですから、大野先生の専門性が発揮されたものに違いありません。しかし、コンクリートの重厚感がずいぶんと控え目なのは何故だったのでしょうか。

 ところで、この翌年に建設された北海道大学 建築工学科校舎は、北海道大学に招かれたばかりの若き木村徳国さんによる建築でした。ご自身が招聘した後輩の作品を見て「なんだこれは」とおっしゃられたという大野先生は、この北海学園大学校舎の設計が念頭にあったのではないかと思われてなりません。

竣工頃の外観北海学園大学 同窓会結成70年記念誌 ーはじまりの10年ーより

 大野先生は、薄いコンクリートのフレーム内の壁面をガラスで張り巡らせて細い柱を並べました。1階中央には、これまた薄い玄関庇を突き出させて繊細感を演出しました。この時代にはカーテンウォール技術はまだ無かったはずですから、大野先生は設計に工夫をこらしてカーテンウォール風の最新デザインを披露されたのではないでしょうか。開学したばかりの私学ならではの自由な空気、しがらみの無い爽やかさに溢れています。

 大野先生が木村先生に「なんだこれは」といったのは、いつまでもミースやコルビュジエにかぶれていてはいけない。社会に役立つ建築技術をリードしなければならない、と指摘されたのではないかと思われるのです。
Top