ホテル丸惣 完成案内ハガキ
札幌市時計台の西側にあった木造の丸惣旅館は、1968(S43)年のことホテル丸惣として建て替えられました。
ホテル東側には大きな玄関庇が架かっていますが、なぜ人の上がれるバルコニーとしなかったのでしょうか。そうすれば観光客に時計台を眺めさせる打ってつけの舞台となったに違いなく、地の利を活かした戦略になったはずです。しかし、このような感想は今だから持てるのであって、当時は時計台の隣に立地しているだけで十分であり、ましてや建築にその内部と外部を関係づけるデザインを仕掛けることなど、当時の札幌においてはまだまだ早かったのかもしれません。
このホテル丸惣は早くも1987(S62)年に現在の札幌MNビルへ建て替えられました。この2階には屋根の架かった広いテラスが設置され、時計台を眺めるための最高の場所として頻繁にテレビに取り上げられたものです。テラスの奥にはロイヤルホストが開業し、よい季節の時にはテラス側へもテーブルが出されて食事ができたものでした。私は1990(H2)年にそこで半年ほどアルバイトをした経験があり、観光客やサラリーマンで満席となった賑やかな店内で忙しく接客した記憶があります。札幌MNビルはホテル丸惣での気づきを大いに活かしたデザインだったのだと思われました。