18禁建築

18kin/2015

忘れたい過去の中に見つけた新発見

2015.04.23

「出っ歯」と呼ばれたフロントスポイラー 「月刊チューニングカー 1983年12月号」より

「竹槍マフラー」と呼ばれた排気マフラー 「月刊チューニングカー 1983年12月号」より

 私は小学校高学年の頃、このような暴走族仕様の改造車にトリコとなっていました。あの時の恥ずかしい嗜好は思い出したくない過去なのですが、忘れようとしても時折に記憶の引き出しが開いてしまうのです。であればいっそのこと、しっかり向き合ってみようではないかと、既に処分していた雑誌をインターネットオークションで求め直しました。

 ところで、今までどうしても許せなかった「ポストモダン建築」。渡辺豊和さんによると、本当の建築というものは表層にこそ魂が宿っているのだそうです。モダニズムは覚醒の思考、これに対してポストモダニズムは入眠の世界、形象も筋書きも定かでない、すなわち無意識の世界を表現したものであるということです。

 無意識って、自動記述のように設計図を?そんなことがあるはずはないでしょう。無意識を装った作図が怪しげなデザインに陥るのではないのでしょうか。そういえば、私が学生の頃に聴きこんでいたサイケデリック音楽なんかにも似たところがあるかもしれません。そうだとすれば、私の根源にはポストモダニズムを好む傾向があるという事になってしまいます。

 それは非常にマズい事態です。昔、途中で読むのをやめたユングやフロイトの本をもう一回開けば、無意識の概念を正しく理解できるかもしれません。

 さて、この改造車をじっくり見てみます。権力への反抗を表す形、コミュニケーションの手段としての表層、このような表現方法にポストモダン建築と改造車に類似性を感じてしまいます。目立とう精神が、その表層を限りなく肥大させていきます。

 改造競争の果てに登場した「出っ歯」と「竹槍マフラー」。どこまでも水平に伸びていく出っ歯のフロントスポイラーと、長くそそり立っていく竹槍風排気マフラーのことです。
 おや?もしやこれは片持ちのキャンティーレバーでは?
 なんだ、改造車はモダニズムだったのですか。
 2015.4.23
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