Blog

blog/1984

狸小路にて

1984.07.08

 狸小路は端の方が面白いです。小さな店が多いのですが店主の個性がよく現れています。ところが、うら寂しくなると同時に危険な香りも出始めてきます。

 今日、友人と1丁目を歩いていましたら、前から僕らと同じくらいの年頃のリーゼント2人組が向かってきました。そしてそれより年少と思われる子分たちが後ろについてきています。目を合わせない様にしていましたが、彼らは僕らのすぐ正面に立ちはだかり「ちょっとこっちに来いや。」と顎をしゃくりました。

 僕らは裏に連行され財布を出させられました。7000円を取り出すと子分たちがいやらしくニヤリとしました。財布を地面に放り投げるや否や、奴らはバラバラに走り去ったのでした。


 腹が立つので、狸小路の「本当の名前の由来」を暴露させて頂きます。

 明治初期、原始狸小路に1杯飲屋が幾つかできた。
 酔った男達を獲物に私娼が出没し始めた。
 白粉を厚く塗りたくった婆さんだったに違いない。
 暗い藪の隙間から白い顔をヌッと出して、ゆっくりと「おいでおいで」と手招きをするのである。
 その白首(ゴケ)にべらぼうなサービス代を払わせられた男達が「白狸に化かされた。」と言い出したのが、本当の由来である。
 札幌にススキノが出来る前の話である。

 ところで、昔話の中に女の幽霊が「おいでおいで」をするという事を耳にすることがあります。絶対について行ってはいけないと言います。これも子供達には内緒の大人のウソに違いありません。幽霊ではなく、生身の売春婦なのでしょう。女について行った男が、精根尽きて帰ってくる。それを見た子供達には、正に幽霊に魂を取られたと見える事なのでしょう。

 隠された真実には、その裏で性の問題が溢れているのではないでしょうか。
Top