北海道大学の南門前にある放置住宅。玄関前は、北大生の自転車に占拠されています。無人になってどのくらい経過しているのでしょうか。陽の当たらない庭に、硬く湿った土の匂いが重く留まっているようです。表札は付いたままです。
聞いた話によると、北大工学部熊沢教授の自邸だったそうです。そして元々は、北大昆虫学教室の名誉教授であった松村氏自邸として明治35年に建てられたのだということです。歴代教授の家の前に生徒が自転車をとめるなぞ、けしからん、とはなっていないようです。
この住宅が中華レストランに再生するそうです。
蝶の燐粉が積もり、虫の入った採集籠や標本が所狭しと並んでいた元昆虫博士の部屋。その100年後、ここで市民が自由に食事をしているとは、一体誰が想像できたでしょうか。