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木の城たいせつ 自己破産申請・・・

2008.03.10

 本日、遂に木の城たいせつが破綻してしまいました。

 もし「クイズ100人に聞きました」というテレビ番組で木の城たいせつを好きか嫌いかという質問があったとしたら、恐らく97人の若者は嫌いと答えるでしょう。全員がその理由を「格好悪いから」と片付けるに違いありません。一方、好きと答えた3人は、木の城たいせつ従業員、もう一人は建主、そして私となるのです。

 10年ほど前、美瑛をドライブしていた時の事、丘の上にポツンと住宅が建っているのを見つけました。独特な輪郭だったので、遠くからでも木の城たいせつと判りました。しかし、近くまで来てしばらく見惚れてしまいました。格好良いと思ったのです。北面から窓を排し、南面に開口部をいっぱいに採った直方体スタイルです。厳しい北海道の自然に対峙した合理的な姿に一発やられてしまったのでした。

 この住宅、実は内部も良いのです。1・2階のホールを居間として活用する発想が基本となっています。それらを繋ぐ階段は、幅が広くて勾配が緩やかです。全体を包むウールの織じゅうたんと布壁紙のやさしさが心地好いです。一言でいいますとリッチな空間なのです。

 流行の外観に翻弄される人々が、この住宅に関心を示さないのも無理はありません。しかし私は、大衆の要望に迎合しないこの会社の潔さに惹かれてしまうのです。この住宅の一体どこが格好悪いというのでしょうか。

 木の城たいせつがもう建たないのです。そう思うと残念で仕方ありません。
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