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上遠野徹先生 御逝去

2009.11.09

 今日、上遠野徹先生が御逝去されました。

 以前、インテリアプランナー協会主催の上遠野邸見学会に参加させて頂いた事を思い出します。それまでは、単にノスタルジックな気分で古い住宅を見て歩くのを趣味としていました。ある日「札幌生活文化史」という古本を読んでいますと、上遠野先生の御自邸の掲載が目に飛び込んできました。その瞬間、開いた口が塞がらなくなりました。格好良いと思ったのです。私にノスタルジック以外の世界を教えてくれたのです。

 この住宅はどこにあるのだろう。
 一度見てみたいと常々思っていました。
 そのタイミングでの見学会参加だったのです。

 浮き足立って上遠野先生に質問させて頂きました。
 「何故こんなに破綻無く、鉄骨フレームの中にレンガがスッポリと納まっているのですか。」

 私のつまらない質問に、先生が丁寧に教えて下さった事を思い出します。北海道の素材だけで組み立てる夢を実現された事や、設計や建設に際しての御苦労話もたくさんして頂きました。芝生の庭で姿勢正しく立ってお話頂いた姿がとても印象に残っています。「鉄骨を室蘭の製鋼所に頼んだら運搬費が安く済むと思ってね。北海道産にこだわる素振をして本当はコストを抑えるのが狙いだったのだよ。」と笑っておられました。
 先生は普段あまりニコニコされないそうですが、その時は満面の笑みでお話頂いた事が私の自慢なのです。


 写真は、その日の様子です。
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