ギャラリー創での小室雅伸展ギャラリートークへお邪魔しました。

　１９７７年から活動を始められた小室さん。この頃、札幌ではブロックを使って住宅を設計する若手建築家が活躍しました。組石造という確かさが、乱熟の様相を見せはじめるポストモダニズムへのアンチテーゼとして、良心派の心を捕えただろうことは想像に難くありません。

　小室さんは、敢えて北海道住宅公社のブロック三角住宅を彷彿とさせる住宅をつくってデビューをされました。変形屋根住宅への当てつけとも取れる三角屋根への原点回帰は、当時のヒゲ面の写真とも相まって強い意志を感じさせてくれます。しかも、自信に満ちたブロック２重積みというテクニックを携えていたのです。当時から続く室内環境への飽くなきこだわりは、小室さんの強烈な個性です。

　しかし、このテクニカルなデビュー作品は、それ以前に横たわった数々の試行錯誤や先達たちのブロック失敗作品を通じて完成したものであるそうなのです。そのあたり、どんな前例があったのか私の興味をくすぐるところなのです。