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天野太郎さんの足跡

2016.03.12

 フランク・ロイド・ライトの弟子の1人に天野太郎さんがいます。戦後に遠藤新事務所を経てライト先生へ入門願を書き、本当にタリアセンへ行ってしまった方です。帰国後は、自分のアトリエの所長と東京芸術大学美術学部建築課の教授という2つの顔を持たれました。

 その天野さんが札幌で設計された、1968年の北島商店ショールームという建物があります。竣工時はコンクリート打ちっぱなしの外観で、内部はRC梁で広く飛ばした大空間だったのです。その天井には大きな円形のトップライトが並び、自然光で家具の展示をしていたそうです。この会社が無くなった後、裏手にあった種苗会社がこの建物を継いでくれたようでした。

 天野さんの魅力は、ライトとアアルトを「有機的なデザイン」で絡めまとめる力とされています。この建物にそのポイントを見つけたかったのですが、どうも無いみたいです。中へ入る機会があれば、1964年の東京芸術大学図書館に似た雰囲気を感じることができるかも知れません。

 この建物にそんな物語があったのかと驚きました。
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