引出から１７年前の懐かしい写真が出てきました。

　カーテンメーカーに勤めていた頃、某百貨店外商部のＳさんから誘って頂いた仕事の一コマなのです。

　「道庁赤れんが庁舎がカーテンを交換するんだって。Ｋ織物でメーカー指定が入っているけど、どうだい協力してくれるかい？」

　赤れんがに納める仕事なら、何が何でもやってみたい。指定商品を自社商品へひっくり返す生地を選定し、価格もギリギリで勝負しました。

　見積もり提出の後、Ｓさんから、あと○万円下げられるかと依頼がきました。どうしても獲得したい私は、納品作業を自分で行うことで減額し、無事にＳさんの落札が決まったのです。納品日、私は会社の仲間に梯子を押さえてもらいつつ、丸１日かかってカーテンを吊りました。

　山下なら無茶してでも協力するはずだと考えただろうＳさん。
　まんまと乗せられたなあと、写真を見ながら苦笑したのであります。
　採算度外視、２０代最後の記念、思い出の仕事であります。