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富良野のマニエリスム

2018.04.07

 70年代の変形屋根住宅をモダニズムとポストモダニズムの狭間に生まれたマニエリスム建築と定義した高木貴間さん。そんな彼が「富良野に立つ変形屋根住宅の改修工事をします。あえて変形屋根を活かしますよ。」と不敵な笑みで教えてくれた住宅のオープンハウスにお邪魔しました。

 現場に到着して「やってくれたな、高木さん。」と登尾さんと共にニヤリとしました。黒板金でグルリと変形屋根住宅を包んでいますが、一面だけ波形ポリカーボネートで人体模型のように内部をボワっと見せています。畑地の中に唐突に立つ黒い物体というだけで一瞬ひるみますが、その一面が透明になっていますので、おや?ビニールハウスなのかと思わせておいて実は住宅なのだと見せつけられて、驚きを重ねます。内部は変形屋根を活かした天井の高い立体空間で、そこは高木さんらしい設計です。

 やはり透明な中間領域の階段ホールに注目します。ディティールを繊細に追求するなら、窓の部分はもっと上手に設計しなければならないでしょう。いくら安いからと言って、あえてプラスチックサッシをそのまま使うというやり方に「よしよしよし。」と頷いてしまいます。建築規制地区にある違法建築のような罪の匂い、余ってたから付けちゃいました的なバラック感、法律なんて関係ねえよ的な素人感、このやんちゃな感じに私は強く惹きつけられてしまうのです。

 2階にボインと飛び出た空中テラス。ギュインと角を捻じ曲げてゴロンと丸く飛び出た形のとってつけた感。高木さんにその形の訳を尋ねますと「最初はシャープな形だったんだけど、丸くしてみたらもっと良くなったんですよ。」とのことでした。もちろんこれは、変形屋根住宅に敬意を払った正しい考えであります。

 高木さん、わかってるな。
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