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支笏湖郵便局

2019.09.16

 1年前の北海道胆振東部地震で被害にあった支笏湖郵便局。集団制作建築事務所の船木幹也先生によって設計、1970年に完成した木造1部ブロック積みの平屋建てです。

 地震が収まった後、損傷があるとしておよそ1か月後に閉鎖されたので、中を見ることはできませんでした。外観から想像するに、内部は木架構の大空間だったようです。

 船木先生は1931年生まれの建築家であるからして、戦後モダニズムの空気を直に吸収、そして実際に体現された方です。ですから鉄筋コンクリートの大スパンがお得意なはずなのに、この郵便局ではあえて木造で挑んでいます。丸太柱にレンガの腰壁、そして木製の窓枠からは、この時代らしからぬ斬新さを、緩いアーチ屋根からは丹下健三さんにも鍛えられた構造表現、もしくはエーロ・サーリネンへのオマージュかと感じられます。

 木造でもこんな見せ方ができるんですよという挑戦なのに、肩肘張らない穏やかな見せ方です。
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