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奇跡の60年代建築 小樽市民会館

2021.03.09

 偶然見つけた小樽市民食堂という看板に呼び寄せられた私は、駐車場入り口で姿を現したこの公共建築物「小樽市民会館」に圧倒されてしまいました。今までこの建築に気づかずにいた自分の迂闊さ、自分好みの近代建築が現役で使われているというありがたさ、そしてうっかりしていたら知らないうちに解体されていたかもしれない怖ろしさ、これらの渦巻く感情にしばらく浸っていた私は、後ろから鳴らされたクラクションで我に帰ったのでありました。

 小幅板型枠の跡がついたコンクリート打ちっぱなしのRC架構と開口部の大面積ガラス、そしてピロティ上の床スラブを突き抜けたガラス筒の中にある繊細な螺旋階段。この建物の中に食堂があるというのなら、行かないという選択肢は無いのであります。

 1963年完成の建物、ガラスの枠はアルミに交換されているところもありますが、元々のスチール枠もたくさん残っていますし、玄関ドアの押手や細やかな金属部品、昔の建材広告に登場したような材料の数々に目が眩んだのでありました。
 暖かくなったら、ゆっくり眺めに行きましょう。
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