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56水害の名残

2022.05.24

 北海道を襲った1981(S56)年の56水害。画像は私の実家を含めた3軒の後ろ姿なのですが、この背丈の異なる様子が56水害の名残なのです。

 宮の沢町内でも特に土地の低い所に建ったこれらの家々だけが被害にあってしまいました。

 水の引いたある日、市役所職員がウチにやってきました。お見舞金として被害のあった世帯に50万円を支給してくれるというのです。ただし、家の基礎を高くする工事をするなら50万円を補助するという意味なのでした。

 大きな車に乗っていた右の家は一番高く、セダンに乗っていた左の家はその次の高さ、車の無かったウチは自転車が入る高さで良いと見栄を張りませんでした。50万円を超える分は各世帯の持ち出しという条件だったのです。

 市役所が指定した業者は、曳家を専門とする会社でした。
 「工事は住みながらできるのです。」という説明を聞いた母は、泣きそうな顔で安心していました。家の各所に車のジャッキのような機械を入れ、10人くらいの作業員たちが声を合わせて回していくのです。家は本当に上がっているのかと疑いたくなるくらいにとてもゆっくりと上がっていきました。持ち上がった空間に角材で井桁を組んで目標の高さまで持ち上げました。最後にコンクリートブロックを積んで行き、その上に家を据え置きました。

 私はなかなか珍しい工事を見学させてもらいました。
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