Blog

blog/2022

本郷新記念札幌彫刻美術館 展覧会

2022.09.01

展覧会フライヤーより

 本郷新記念札幌彫刻美術館で開催される展覧会にホッケン研も準備協力させていただきました。フライヤーにクレジットをしていただきましたので、謹んでご報告いたします。

 展覧会は「建築家上遠野徹と本郷新の宮の森のアトリエ」と題され、来たる9月10日~12月11日の期間で開催されます。宮の森のアトリエとは、本郷新さんのアトリエとギャラリーを兼ねた御自身の住宅のことであり、上遠野徹先生によって設計され1977(S52)年に完成したものです。現在は彫刻美術館の記念館となっています。この建物に込められた両者の思いをそれぞれの仕事を通じて展示するものとなります。ご興味のある方はぜひご覧下さい。

 さて、私も今回の展覧会を通して、想像をこねくり回したいと思っています。
 まずは、会場となっている記念館そのもののデザインです。上遠野先生のそれまでの住宅デザインとは微妙に異なっているので、今までは素直に見ることができていませんでした。ブリッジや吹き抜けを効果的に使った立体的な空間デザインとなっていることや、天井の梁や彫刻のような柱から感じる光と影の演出がこれまでより過剰ではないかと思えること、そして、あちこちにあるアーチのデザインの意図などです。ギャラリーを兼ねるという特殊性がそのような表現をとったのか、または何か別の理由があるのか想像を巡らせ、推理してみたいと思います。

 もうひとつは、この記念館の設計を上遠野先生がされた訳です。春香山にある本郷新アトリエは田上先生によって1965年に設計されました。その後1977年にこの新しいアトリエ(記念館)を上遠野先生が設計されたのです。普通に考えれば両方とも田上先生に任せられるのが自然と思われます。ちなみに1981年の美術館本館においては再び田上先生が設計をされました。(発注者は本郷さんではありませんが。)本郷さんにとって田上先生は5歳年上、上遠野先生は20歳も年下の関係です。記念館の設計者選定にどんなドラマがあったのか、これも大変興味深いことです。さて私に推理できるかどうか美術館に通ってみようと思います。
Top