元々あった
三菱商事の琴似社宅は1991年に建替えられて分譲マンションになりました。その設計は、やはり三菱地所によるものでした。
私は偶然にも、そこにお住いの方へ仕事で携わるチャンスを得ました。マンションはバブル時代の建物であるのに奇をてらわず、外観やエントランス付近のデザインが落ち着いた佇まいで好感がもてました。住居部分までのホールや階段はゆとりがあって、仕上げ材もレンガタイルや無垢木材の手摺りなど質感の高いもので整えられていました。
何度か訪問を繰り返したある日のこと、やっとそのお宅の玄関ドアに目を奪われました。鋼製で重厚感があり、良い凹凸の手触り感だったのです。そして同時に気がつきました。ドア表面に
六角形モチーフが設えられていたことに、です。
迂闊なことでした。三菱地所の設計による建物に入るなら、最初から六角形の存在に気を付けておくべきだったのです。