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アトリエBNK Gノートに見る「痕跡」展

2023.08.10

 ギャラリー創で開催されている『痕跡』-Gノートに見る「周縁のモダニズム」とその終焉-展に行ってきました。

 アトリエBNKを創設されたAさん、Gさん、Hさん3名の中で、主に設計デザインを担当されたGさん。Gさんが設計作業の中で紡いでこられた3000ページに及ぶノート群から重要な文言やスケッチを抽出し、その特別な姿勢を浮かび上がらせようとした展示となっていました。

 Gさんは1943(S18)年生まれだそうですので、学生時代はモダニズムの勉強をされたと思います。しかし大学を卒業される1966(S41)年ともなると、ポストモダニズムの産声に気づき始められたのではないでしょうか。時代が移り変わるタイミングで設計デザインを生業に選ぶということは、アイデンティティを外によりも自分の中に求めなければならなかったのではないかと思われます。Gノートには、苦悩や葛藤にさいなまれながら否定や肯定に揺れた複雑な闘いが感じられました。私が好む初期アトリエBNKの内向性は、このような背景があったからなのではないかと思われました。

 内に向くというスタンスが、会社名をも匿名的にしたようです。今まで謎だった「アトリエBNK(ブンク)」という名の語源は、当時流行していた赤塚不二夫さんの漫画キャラクターにあったと披露され、クロージングパーティーの中でGさんが頷いてくれました。「B」はベシ、「N」はニャロメ、「K」はケロンパスのことで3人がそれぞれの役なのですが、ここでそこまで触れることは止めておきましょう。ともかく、BNKの語源に難解な理由を想像していた私は、そのひねくれ具合にドッと力が抜けてしまったのでした。
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