ペケレット湖園の魅力は、野趣あふれる水辺の環境と隈なく手入れされた庭園との対比です。分厚い絨毯のような芝生を歩きつつ四季折々の草花を愛で、鳥の鳴き声や立派な北海道の木々の間から通り抜けてくる風を感じ、自然と人工のせめぎあいに舌鼓を打ちながら湖を１周することができます。

　緑や水や大きな空を十分に堪能して出発点へ戻る時、景色の奥に見える建物が徐々に迫ってきます。目前にはっきりしてきたその無骨なコンクリート造の手触り感は、周遊で穏やかになった心にふりかけられる香辛料のような手応えなのです。毎年春になって営業が開始されると、私はこのピリリ感を求めて依存症者のように湖園へ向かうのです。

　建築はどんなに良いデザインであっても、やはりただそれだけでは物足りません。周囲の環境や住まう人のにじみ出る生活感と一緒になることで初めて発せられる姿に、私は惹かれるのかもしれません。謎の建物 ペケレット湖園