珍建築

chinnazo/2013

札幌の文化住宅

2013.10.25

 私の手元に、札幌の「文化住宅」を紹介した古い絵葉書があります。
 文化住宅とは、大正後期から昭和初期にかけて提案された和洋折衷の合理的住宅のことです。その外観は突飛とも見えるデザインが多く、モボモガの良く似合う華々しさが特徴です。この絵葉書もその時代の札幌郊外円山の風景であるに違いありません。

 三角屋根の方は、黒っぽく塗装された下見板の壁に白い窓枠がはっきりと浮き出ていて真新しい清潔感が漂っています。連続した三角窓や大きさの異なる窓がランダムに配置され、何やら騒々しい感じです。奥の方の住宅は、落ち着きのある雰囲気に2階の軒下から細長く伸びる窓が印象的です。しかし、屋根から玄関の庇まで繋げた細く長い斜めの屋根に目が引っ掛かります。

問題の部分

ライヘルスネスト荘/P.Vorkink&J.Ph.Wormser 1920年 「近代建築史圖集 彰國社 1954年」 より

 1920年代のアムステルダム派の建築に創を得たようなデザインが、ほぼ同時期に札幌に建ち上がったのが驚きなのです。田上先生の太秦邸や鬼窪邸、城下邸の屋根デザインにも少なからずここからの影響があるような気がしてきます。

 さて問題の住宅、まさか残っている筈が無いとタカをくくって現地探索していなかったのが間違いでした。
 予期せぬ偶然の出会いに、心臓が止まりそうになりました。
 山鼻にはこんな仲間が残っていました。  2013.10.25
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