珍建築

chinnazo/2020

建築が賑わいの場をつくるためにできること

2020.02.16

H内科

K歯科google street view 2010より

 私にだってこれくらいの遊び心はあるんですよ。病院って何となく陰気臭いでしょ。だからこんな医院だったら入ってみたくなるでしょ。と言わんばかりの外観を見ると、患者を集める手段としたのかなあと思います。

 ともあれ、建築には賑わいの場を創出する役目を担わされる側面があるということに、異論はございません。

 このような認識を持ちつつ、北海道百年記念塔のことを考えてみます。鉄サビ片が落ちてきて危険、維持管理に多額の費用がかかるなど、頭を抱えている当局担当者さんの気持ちになってみましょう。100年という節目に建てた記念塔をこの理由のみで解体するのは何としても避けたいと、担当者さんだって思ってくれているはずです。

 しかしね、北海道博物館の改修に多額の費用をかけたし、開拓の村の修繕費だってどうすれば良いのか・・・。もう壊すしかないという部局の空気と上司からの無言のプレッシャーに、圧し潰されそうなんだ。塔さん、申し訳ないが、もし生き残りたいって言うのなら、自分の修繕費は自分で捻出しておくれよ。アンタには関わりたくないって皆でたらい回しにした挙句、最後に廻ってきたのが僕のところなんだよ、わかっておくれよ。そのためには、塔さんのところにもたくさんの人々が訪れてもらわにゃいけないよ。観光客の定番スポットになるためにどうすればいいか、良い知恵を出そうよ。
入場料200円×年間目標来場者50万人=収入1億円から経費を差し引いて、年間5千万円を修繕費に充てられそうだよ。



 私は、百歩譲ってもこのような考えにはなりません。北海道百年記念塔が賑わいの場になるなんて、思いもよりません。修繕は税金を使って計画的にこれからも継続していくのが良いのです。願わくは、設計者井口さんの基本設計案どおりに石積みのマッスも復活させてほしいのです。石積みのマッス復活までいかなくても、建物の維持には費用がかかるという事実を覚悟する必要があるのです。

 でも、残すための条件が観光スポットとして活用することと決断して下さるのなら、私は勇んで妥協しましょう。ただし、賑わいさせ続けることがいかに難しいかということを歴史が証明していることも忘れてはなりません。
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