珍建築

chinnazo/2021

地崎本宅

2021.03.19

地崎商事三十年史 平成6年発行 より

 かつて札幌市中央区伏見に「ちざきバラ園」という庭園がありました。
 北海道を代表する総合建設業の地崎組3代目社長地崎宇三郎さんの自宅庭園を1970年から一般公開したという庭のことです。その後、バブル崩壊後の経営難から庭園は別会社の所有になっていましたが、2009年の10月18日をもって閉園したそうです。

 さて、そのバラ園奥にあったという3代目地崎宇三郎社長の家について、気になったことがありました。

 実は田上先生が、1972年に地崎邸を計画したという記録が残っています。どんな計画だったのか、計画は実現しなかったようですが実際の姿に少しは反映されたのか、非常に気になることでした。しかし閉園後、ちざきバラ園に残っていた建物は全て解体されてしまったというので、確認作業は不可能なことでありました。

 ですから、上掲画像を図書館で見つけた私は「あっ!」と声をあげてしまったのです。

FRANK LLOYD WRIGHT 2008TASHEN より

 フランクロイドライト先生の傑作のひとつ、1935年の「落水荘」。
 田上先生が「落水荘」をモチーフにした作品は、私の知る限りありません。無いのですが、あの傑作を地崎邸に生まれ変わらせようと企てられたかもしれないと想像することはできます。その計画を気に入った地崎宇三郎さん、計画だけもらって「あとは自社でやれるから。」と言ったかもしれないと想像することもできます。自分の作品にすることができなかった田上先生の不満は、1974年に設計の始まった札幌市教育文化会館の外観に「落水荘」を反映させたのではないかとも思えてきます。落水荘の資料を持って、札幌市教育文化会館に行ってみよう。

ちざきバラ園 絵葉書より

地崎邸 拡大

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