珍建築

chinnazo/2021

N邸

2021.10.08

札幌市西区発寒

恐らく前田建築研究所
 本当は「素敵な建築カテゴリー」に入れたいN邸。なぜ「珍建築カテゴリー」に入れたかというと、やはりその外観に理由があるのです。

 カラシ色と白に塗り分けられた壁面が濃緑の部材で縁取られ、2階に飛び出た深い軒は和風な支え部材でたわみを防止されているように見えます。正面からは総2階建てかと思わせておきながら、横から眺めるとカブトガニの甲羅のような大きな片流れ屋根が現れました。
 建主のNさんは、この屋根のお陰で雪下ろしから逃れることができたでしょう。普通、片流れ屋根といえばフラットに流すことがお決まりなのですが、この住宅のように両脇を大きく折り曲げることで程良く3方向へ落雪をさせることができるのかもしれません。また、風を受ける翼のような形が、田上先生の作品とは違う味わいの飛翔感を思わせてくれます。

 2階窓上のガラリが、幕板に装飾された柄で上手く存在感を消されています。その柄は単純化されたハーフティンバー風のアール印と×印です。

 おっ、この×印は前田建築研究所 前田敏雄さんの足跡ではないですか。ブロック塀の窓にも登場する×印、きっと前田さんの設計に違いありません。無落雪屋根を発明した前田さんが、雪国の屋根に立ち向かった例と思われ、興味深いです。


 世に「和風モダン」という言葉があるが、この住宅にこそ授けたい。

勝手口の屋根に水平な庇ではなく三角屋根を架けるという点が、意表を突いている。

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