唐突な話になりますが、洋楽ポピュラーミュージックの歴史において1967年とは特別な年です。一言でいいますとサイケの年ということです。私にはこのデコラティブな感じがサイケデリックに見えるのです。モダニズムの時代の崩壊が近いと気づいた設計者が自棄に傾いたというか、直感で思いつくままに線を引いてみたというか、そのような設計者の模索、悩み、出来心が感じられるようです。
このアパートを設計された方はシグマ(Σ)型のデザインを自分のものとして見つけ、とらわれたようです。街歩きの中でΣ型の建物に出会いこの方の足跡を感じますと、その発想の原点は何なのか知りたくなります。そして、そうデザインせずにはいられない設計者の心を覗いてみたくなります。また、そのデザインを認め、設計させてくれる施主との出会いにも奇跡を感じてしまいます。