建主の宮地鉄也さんは、1934(S9)年に東京帝国大学工学部を卒業後、建築技師として海軍省に入省。戦後の1949(S24)年に山下寿郎設計事務所札幌事務所に入社され、翌年札幌事務所の所長になられたとのことです。この住宅は、宮地鉄也さんご自身の設計による自邸と伝えられています。

　戦後すぐの住宅にしっかりとした設計と施工の例を見ることはなかなかできなく、最近まで残っていたのは大変貴重でありました。その後、1962(S37)年に名古屋支店長として札幌を離れられるまでの間、日本興業銀行関係の仕事を多くされたようです。現在の北海道労働金庫本店の建物は最初は日本興業銀行の札幌支店として建てられたものですので、ひょっとすると宮地所長の仕事跡なのかもしれません。