新住宅 昭和39年3月号より
越野先生は、この問題を十分に意識されて設計をされたようです。切妻三角屋根を崩した外観は、ゆるい勾配で屋根がかけられ、小さいながらもゆとりある雰囲気になっています。玄関から居間へ入れば、勾配屋根なりの高い天井のある空間が現れます。南に面したベランダ窓はパーゴラで程良く直射日光が調整され、さらに吹抜け上部にある屋根なりに変形した高窓からも光が降り注ぐ仕掛けとなっています。この高窓は、空間全体をほんわりと照らしだしたことでしょう。当時はこのような光あふれる室内というものが憧れとされていたのではないかと思います。