建築年表 住宅編

chrono/1957/20220402/chrono/1955

高橋武久邸

chrono/1957/20220402/chrono/1955年

札幌市

高橋武久さん

北海道の建築 日本建築学会北海道支部 昭和32年発行より

 この住宅は、高橋武久さんご自身の設計による高橋邸です。ご両親と高橋さん3人のための木造平屋とのことです。まずは天井から床までの大きな連続窓が目に入ります。しかもL字に開いているのです。上遠野先生の専売特許ともいえるL字大開口が、若き高橋さんによってすでに実現されていたのでした。

北国の住まい 昭和34年発行より

北国の住まい 昭和34年発行より

 正方形の平面プランで台所や浴室を中央に集めたコアシステムを採用しています。その理由は水道の凍結を防ぐためということでした。また、基礎を1m上げて積雪に対処しつつ、その床下空間は物置として活用されていました。その面積はなんと浴室やトイレ以外の全てにわたっています。平面図を見ると子供寝室(つまり武久さんの部屋)から床下に潜れるようになっていました。

 室内からの眺めはとても良いものです。大きな窓には柱が2本ありますが、細い窓枠の後ろに立つおさまりで、さらに室内側からはカーテン溜まりに隠れるように配置され、大変すっきりしています。また、居間の床と和室の畳が敷居なしで同面になっているところも不思議な連続性が感じられます。

 住宅建築の常識にとらわれない実験精神、そして美しい細部を求める高橋さんのこだわりが感じられます。この住宅が後年に北海タイムスの「すまい」特集に掲載された時、高橋さんは日建設計工務北海道事務所の設計スタッフとして紹介されていました。きっと設計のセンスを買われて採用されたのでしょう。
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