建築年表 住宅編

chrono/1964

日本住宅公団 曙団地

chrono/1964年

札幌市南区真駒内曙町

現存

北海道開発局

淺沼組

東宝映画「社長忍法帖」よりキャプチャー画面

 竣工直後のホテル三愛(現 札幌パークホテル)がロケに使われているということで、東宝映画「社長忍法帖」のDVDを入手しました。ホテル以外にも1964年の札幌の風景が見られましたので、リモコンの一時停止ボタンに指を乗せつつTV画面に噛りつきました。その中で特に興味を惹かれたのが上掲画像であります。

 団地の背景に藻岩山の軍艦岬が見えるのを確認し、現場と思しき場所へ直行しました。映画の中で「建設中の真駒内団地」として紹介されていたのは、まさしく真駒内で建設中だった「日本住宅公団 曙団地」だったのです。
 同アングルで撮影して2つの写真を並べてみると、屋根の形に違いのあることがわかります。竣工時は緩い傾斜のついた薄い屋根だったようです。しかし、当時は断熱技術の未熟な時代でしたから、これでは室内の暖気が伝わって屋根面が温まったことでしょう。私たち北海道民は、雪の積もった屋根面が温かいと大変なことになると知っています。スガモレに結露、そして軒先にツララが発生するからです。これらの問題を解決するため、住居スペースから離して天井裏で冷やした屋根と塩梅の良い勾配が必要になります。現在、既存の屋根の上に頭デッカチのトタン屋根が乗っているのは、これらの問題に対処した跡だと思います。私は、この頭デッカチ屋根の形が北海道建築の風土性そのものだと思っています。
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