同アングルで撮影して2つの写真を並べてみると、屋根の形に違いのあることがわかります。竣工時は緩い傾斜のついた薄い屋根だったようです。しかし、当時は断熱技術の未熟な時代でしたから、これでは室内の暖気が伝わって屋根面が温まったことでしょう。私たち北海道民は、雪の積もった屋根面が温かいと大変なことになると知っています。スガモレに結露、そして軒先にツララが発生するからです。これらの問題を解決するため、住居スペースから離して天井裏で冷やした屋根と塩梅の良い勾配が必要になります。現在、既存の屋根の上に頭デッカチのトタン屋根が乗っているのは、これらの問題に対処した跡だと思います。私は、この頭デッカチ屋根の形が北海道建築の風土性そのものだと思っています。