建築年表 住宅編

chrono/1969

伊藤邸

chrono/1969年

札幌市白石区厚別西

現存せず

アトリエブンク

1級建築士事務所アトリエ・ブンク作品集1970-1983より

 2022年9月のこと、コンチネンタルギャラリーで開催されているアトリエブンク展へ行ってきました。会場では、地方で統合集約される学校や役所建築の新しいあり方を示してくれていました。大きな模型が展示され、私も小人になった気分で内部空間を堪能することができました。これまでの公共建築とは、誰からも文句の言われない安全パイのような体裁に落ち着かせたものが多かったと思います。しかし、そう陥らないようアイデアを凝らして実現させていくアトリエブンクの注意深い姿勢を感じました。
 さて、展覧会で最新作や海外コンペ案を見つつも、私はやはり、アトリエブンクの原点にも興味が湧いてくるのでした。

1級建築士事務所アトリエ・ブンク作品集1970-1983より

 この住宅は、アトリエブンクの住宅作品第1作という伊藤邸です。数年前に解体されたようですが、1度お伺いしたことがありました。私の父と同世代の方々の仕事という点に身近さを感じつつも、鋭い感覚を見せつけられるようでした。竣工時は付近に住宅がほとんど建っていなく、当時を知る業界人は「ああ、厚別のシーランチのことね。」とすぐ思い出すぐらいに注目を浴びていたそうです。お住まいだった方の記憶によると1969年竣工のはずとのことでしたが、それでは事務所設立前の仕事になってしまいます。実際はどうだったのでしょうか。

 アトリエブンクは秋山孝さん、後藤達也さん、濱田暁生さんの3名で創設されましたが、決して個人名を出さず事務所名で活動されてきたそうです。チームの個性を上手に作り上げてきたイメージ戦略が、現在のアトリエブンクの成功へ結びついたに違いないと恐れ入りました。
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