建築年表 住宅編

chrono/1971

札幌ニュースカイマンション

chrono/1971年

札幌市中央区南3条西12丁目

マンションセンター・企画設計事務所

佐藤工業

札幌ニュースカイマンションのパース財界さっぽろ 昭和45年12月号より

2022年

 1960年代過ぎの初期分譲マンションの中で個性を発揮した秀和レジデンスシリーズ。その3大特徴は、青い瓦屋根・白いラフな塗壁・黒いバルコニーの柵でありました。南欧風を狙ったというこれらのアイテムは流行となって、秀和レジデンス以外にも広がっていったといいます。

 さて、札幌に1971年に完成した札幌ニュースカイマンションは、秀和3大特徴のうち、白いラフな塗壁とバルコニーの柵を拝借していました。青い瓦屋根は、札幌では雪害の心配があるので採用できなかったのでしょう。その代わり1階壁面と出隅に青いタイルが貼られていました。

 1964年に完成した札幌パークホテルは青いタイルが貼られていて、市民のあこがれとなりました。それ以降、青いタイルが流行して住宅の腰壁などに使われることが増えたと言われています。札幌ニュースカイマンションの青いタイルもまさにこの流行現象の表れだと思われます。

 さらにもう一つは、四方枠の飛び出た窓枠です。昔の木製窓枠は壁との取り合いに隙間が発生するので、そこから入ってくる隙間風に悩まされたものです。隙間風ならまだ我慢できますが、雨や雪まで入ってくるのです。枠を飛び出させれば、それを大かた防ぐことができたのではないでしょうか。アルミサッシとコーキング剤が普及したのちも、しばらくこの枠デザインが見られ続けたのは、あったほうが安心感を与えるからだったと思われます。このマンションの施主は窓メーカーだったのですから無い方が製品のPRにも役立ったはずですが、デザインとしてとらえていたのでしょうか。きっとそうなのでしょう。
Top