左上が建主 沼田幸太郎さん(竣工時の記念写真)沼田さんより
さてこの沼田邸は、今回取材させていただいた沼田貞夫さんのお父様である沼田幸太郎さんが1969(S44)年に建てた住宅です。我々ホッケン研としましては、どなたの設計だったのかという点が最大の関心事でありました。ありがたいことに沼田さんは、設計図や確認通知書、更には工事請負契約書と見積書、さらに竣工時の記録写真まで用意して取材に備えて下さっていました。
さっそく確認通知書を読みますと、設計者記入欄にはこのようなお名前が書いてありました。
1級建築士 本塚忠雄
確かに設計図は本塚さんが描かれたのでしょうが、沼田さんのご記憶を色々と伺っておりますと、施工者 工藤工務店の工藤薫さんの仕事ぶり、こだわりぶりが明確に伝わってきました。工藤さんも発寒に住んでいて、まず最初に川端邸という大きな切妻屋根の家を建てたそうです。続いて
沼田さんの本家や親戚筋の
剣持邸を次々と手がけ、さらに沼田幸太郎邸にも着手をされたのだそうです。工藤さんへの信頼が、これら発寒の地主仲間に広がっていったものと思われますから、設計の基本デザインや方針は工藤さんで、それを元に本塚さんが図面に描き起こしたものではないかと考えられました。