この住宅は、芸術家の父、新聞社勤務の母、そして小さな2人の子供たちのために設計されました。一見、雛壇敷地に平屋が乗っているように見えますが、地下に車庫と食品庫、サウナが埋まっており、そのような北欧風の素敵な暮らしを期待した伊藤さんの願いが表れているようです。構造は鉄筋コンクリート造なのですが、その内部はぬくもりある木肌を活かしたモダンリビングの先駆けとなっています。廊下を軸とした両脇に部屋が配されていて、その扉や襖を開け放つと広々としたワンルーム空間が出来上がります。マレンコソファに身をうずめ、天童木工のテーブルに飲みかけのコーヒーカップを置き、古いステレオでチックコリアなどを聴きますと、竣工当時にタイムスリップすることができます。