ホッケン研 訪問取材

第4回

北海道青少年会館 宿泊棟

2012年04月29日15:00~翌10:00 曇り

黒川紀章建築都市設計事務所 清水正俊氏

1971(S46)年

RC造(客室部プレキャストコンクリート造)4階建 3,779.9㎡

岩田建設㈱・㈱淺沼組

札幌市南区真駒内柏丘7丁目8番1号
 民主党政権が導入した「事業仕分け」のターゲットにされてしまった北海道青少年会館。来年の1月末日をもって閉鎖が決まったというので、最後のチャンスになるだろうと受話器をとりました。目的は、黒川紀章さんが設計されたという宿泊棟に泊まることであります。

 この建物、雇用促進事業団による福祉施設ということですが、札幌冬季オリンピックのプレスセンターとして活用されるという前提で建築計画がスタートしたそうです。基本計画・全体案は北海道日建設計が進めていたものの、黒川紀章建築都市設計事務所も同物件の設計を進めていると判明しました。最終的に2事務所が妥協する形で、劇場棟を日建設計、宿泊棟と体育館を黒川事務所が受け持つことになったそうです。

 いや、きっと「劇場棟という花」を日建設計に持たせると見せかけて、黒川事務所が元々欲しかった宿泊棟を獲得し、ついでに体育館ももらっちゃったというのが真相ではないでしょうか。

 更に、印象的な渡り廊下で、これら3つの建物が接続されています。時代を象徴する有機的デザインが、2つの事務所の軋轢を無理矢理慰めているように見えなくもありません。
 さて、問題の宿泊棟です。
 黒川紀章さんと言えば「中銀カプセルタワー」です。
 私は、あのユニットカプセルの原形がここにあると見ています。
 しかし、「この事実」はほとんど知られていませんし、何故か黒川事務所の実績からも抹消されています。これ以上この謎に足を突っ込むと、身に危険が及ぶかも知れません。

 施設の閉鎖後、この建物はどうなっていくのでしょうか?
 恐らく北海道には、解体する財力が無いでしょう。
 せめて、廃れていく様子をいつまでも記録していこうと思います。

 ところで肝心の宿泊部屋の内部は、あまり見るべきポイントがありませんでした。

渡り廊下(宿泊棟から体育館への一方通行路)

渡り廊下(体育館から宿泊棟への一方通行路)

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