現在 2014年 2階納戸が拡張され天井も高くなりアーチ窓がついている
遂に我々の願いが叶い、この住宅へ訪問して現在お住まいのMさんからお話を伺わせて頂ける機会を得ました。初代オーナーの高橋さんから、現在のMさんが住まわれる間に5人の方が変わっているそうです。そのような遍歴を経てもなお、失われずに残り続けてきたのです。元々この地の地主さんでいらしたMさんがこの住宅に移り住んだのが1984年、ということは今まで30年間住み続けていらっしゃることになります。
「白黒の外観を守られているようですね。」
「今年も息子に塗ってもらったの。」
「随分と大事にお住まいのようですね。」
「上遠野さんの設計された家なのでね。」
「ところで、2階のアーチ窓の事なんですが・・・。」と、恐る恐るお尋ねをしました。
1968年から1997年まで、Mさん御夫婦がこの住宅の横で「サッポロハイツ」という企業向け研修センターを経営されていたとのことでした。その営業を終えられ研修センターを解体する時、建物についていた印象的なアーチ窓を保存し、住宅2階を拡張増築した際、懐かしい記憶を残せるようにとその窓を移されたのだそうです。そんな素敵な物語に、謎はすっきりしたのでした。