上遠野 徹 作品アーカイブス

1970

YMCA札幌青少年センター

1970年

札幌市中央区南11条西11丁目

竹中工務店北海道支店
 石山通りに面した札幌のYMCA。小さな6つの窓が配置されたファサードには重々しい印象があります。そうでありながら、両袖部にはガラスのスリットを隔てて薄い壁が立っているようにデザインされています。このような重さと軽さを同居させた複雑な味わいは、たびたび登場する上遠野先生の特徴の1つです。

 長い間、YMCAの横には前田建設工業札幌支店のビルが建っていたので、側面のデザインは謎に包まれていました。2017年のこと、このビルが解体されるというニュースを聞いて、YMCAの側面が見られるぞとゴクリと唾を飲みこみました。

長い間、見られなかった側面

 あらわになった側面には、大きなT型に組まれたガラス窓が4つ並んでいました。加えて控え壁のような柱型が5本飛び出しています。これが大きな壁面を支えていると思いますが、こうすることによってT型付近のコンクリート壁に不思議な見せ方をさせることが可能となったようです。不思議と言いますのは、鉄筋コンクリート造であるのにも関わらず、頼りなさげな危うさが感じられるところなのです。

 

不思議なコンクリート壁

 赤く囲ったところに不安定な緊張感が漂っています。安定感ある構造表現も美しいものですが、このような独特な美学も上遠野先生の魔力なのです。
Top