(株)上遠野建築事務所様より
規模は鉄筋コンクリート造2階建の6棟で、設計は上遠野先生と中井さんの共同だったそうです。写真を見る限りでは1棟8世帯のようで、軒の出が無い壁面に窓が幾何学的な配置をされています。そして、煙突と建物の裾だけが黒っぽい仕上げとなっています。まるで白い四角い形を地面から浮かばせようとした、そんな意図が感じられます。住居数の拡大だけが叫ばれていた時代に、このような鋭いデザインを追求する設計者の心とは一体何がそうさせるのでしょうか。当時27歳の上遠野先生にとっては第1作目の建築ですし、中井さんもまだ32歳。恐らく共に若い2人が挑戦心を持って取り組まれたのではないかと思いますが、可能であればお聞きしてみたいものです。
ほとんどの北海道民が団地の姿など見たこともなかった時代にこのような近代的な炭鉱住宅団地が完成したことは、そこで暮らす炭鉱マンにとって誇りとなったことでしょう。