上遠野 徹 作品アーカイブス

katono/1957

高橋邸

katono/1957年

増改築あるも現存

札幌市中央区円山西町

竹中工務店北海道支店

オリジナルの姿(1980年)

オリジナルの姿(1980年)

2014年

 上遠野先生の住宅作品第1作目が残っていました・・・。白と黒との強いコントラストの外壁が竣工当時のままの様子ではありませんか。
 竣工当時1957(S32)年の円山西町を想像してみましょう。鬱蒼とした神社山からの雑木林が、その麓までずっと広がっていたはずです。その中に突然、白と黒に色分けされた和風のモダン住宅が出現するのです。自然と対比された人工的な美しさが一際輝いていたに違いありません。

 この家は基礎が高いです。玄関までは緩いスロープが掛けられています。このスロープを通って家に入る気分はどんな感じでしょうか。荒々しい大自然から幾何学デザインの中に入る前の切り替え装置として機能したのではないでしょうか。
 神業的な開口部のデザイン力。上遠野先生の大きな魅力のひとつです。この第1作において、それが既に発揮されています。南に面した2階の和室。屋根なりの形をした天井、そして柱間に挟まれた空間が全て窓なのです。こんな開口部を持った和室を見たことがありましょうか。この空間に入れば、身の引き締まる思いがするでしょう。いつも姿勢の良かった先生の内面が、この空間造りに表れていると思えます。

後日談
2014年のこと、ホッケン研の訪問取材をさせて頂きました。
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