上遠野 徹 作品アーカイブス

katono/1962

富士製鐵室蘭健康保険組合 屋内温水プール

katono/1962年

室蘭市輪西町3丁目

現存せず

竹中工務店北海道支店

竣工時の屋内温水プール「建築文化1963年1月号」より

 上遠野先生は、室蘭の富士製鐵株式会社の健康保険組合事業の中で体育館と屋内温水プールを設計されました。1961年に先行して完成したカックカクで彫りの深い体育館の翌年1962年に、この優美な形の屋内温水プールが竣工しました。
 当時、これは東北・北海道随一を誇った温水プールだったそうです。上遠野先生、本当は体育館のデザインにアーチ梁を架けた造形的な設計をしたかったそうなのですが、やはり雪や氷が心配であきらめていたのだそうです。結局、四角い体育館になってしまったので、屋内温水プールでは可能な範囲で遊んでみようと思われたのではないでしょうか。

25m×6コース「建築文化1963年1月号」より

 外観は、アングル材をダイヤモンド状に組んで籠状骨組みのカマボコ型になりましたが、玄関側にキューと伸ばし切ったデザインが美しいです。ブルーペンガラスの窓と壁面の面積バランスなども、見れば見るほど見入ってしまいます。もちろんこのプールもありあまる熱源を使って室温27度、水温24度という快適さだったということです。しかし残念なことに、現在は屋内温水プールは無くなっており、体育館と野球場の間には室蘭新道が通ってしまったため、竣工時のような敷地全体の広がりは無くなっています。

熱帯植物の咲くプールサイド「建築文化1963年1月号」より

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