「北国の住まい 第5集」 1964年9月発行 より
中島邸に似た雰囲気の木造住宅。
庭に向かって、居間は3間、隣の客間も2間を連続させて開いています。コンクリート製の万年塀の内側は、わざわざ吹き付け塗装で仕上げてあったそうです。恐らく、小宇宙の庭空間が閉鎖的に完成されていたのでしょう。どんな色やテクスチャーの塀だったのか、そしてどのような庭だったのか非常に気になるところです。
2階のバルコニーにある華奢な手すりに目がとまります。やんちゃな子供なら、細い木製手すりをすぐに壊してしまったでしょう。立体的な壁面を持つ2階建て住宅を大きな屋根ですっぽりと守っているところが上遠野先生らしいデザインと思います。
2階の屋根から垂直に下がる方立のような壁は、何のためなのでしょうか?北風を遮るための壁だったのでしょうか?