通常、鉄骨という建築材料は建物の中で構造体となり、見ることはできません。しかしこの住宅では、それ自体を意匠として外部に剥き出させ、見るものに力強い印象を与えています。一方で、室内は柔らかな道産木材と布貼で仕上げられているのだそうです。そして、鉄骨造で可能になった大開口が過去最大の面積になっています。
この住宅での新しい試みは、サッシの収め方です。
「もしも、部屋の隅を窓ガラスで組み立てる事ができたら、より強烈な開放感が得られるのに・・・。」
当時の住宅設計者は、誰もがこう願ったのではないでしょうか。
この夢が、この松野邸で実現されました。
恐らく、札幌で第1号のコーナーサッシの住宅である、に違いない、たぶん。
この後、この住宅のバリエーションがどんどん展開され、上遠野先生の代名詞となっていきます。当時先生は、44歳でした。