㈱上遠野建築事務所ホームページより
上遠野先生が鉄骨造の住宅設計を本格始動させていた折、1軒の木造住宅が完成しました。木の柱と梁の間に窓が挟まっているのは、いつもの技です。ピロティで持ち上げられた2階に住居空間がまとめられています。居間にいながらにして円山から三角山までの景色を一望できたにちがいありません。
この住宅の写真をじっと見つめてみます。上遠野先生は、この住宅を鉄骨造で設計されたかったのではないでしょうか。恐らく、施主の笹川さんに木造での設計条件を強く要望されたのではないかと思われてきます。そういう勝手な想像でこの住宅を見てみますと、鉄骨造での平面プランをそのまま採用して木造に変更し、元々はフラットルーフだったものに緩勾配の屋根を乗せたのではないかと思えてきます。
この住宅での気づきが、あとに生まれる大滝邸や中島邸の美しさに結びついたのではないかと思えてしまうのです。