裏から
北海道インテリア研究所の山本桂さんから、ロシアのお茶会に誘って頂きました。場所は在札幌ロシア連邦総領事館で、開設50周年の記念に行われるものだということです。その建物が上遠野先生の設計によるものということを桂さんもご存じだったのです。私は、めったに入ることのできないチャンスだということと、ロシアの方々との交流方法の想像がつかないことを天秤にかけました。もちろん「おじゃましたいです!」と答えたのですが、家に帰ったらロシアのお茶とは何?という事から調べなくてはならないのでした。
正装して警備の方にお茶会に参りましたとお辞儀しました。鉄格子の門を開けてもらい「どうぞお入りください。サロンの方へどうぞ。」と玄関へ促された時、背の高いロシア人女性に引きずられてワルツを踊っている自分の姿が思い浮かんだため、やっぱり家に帰ろうと思いました。後ろを振り返れば、鉄格子は大きな音をたてて閉まり、警備の方はおっかない顔をして直立不動の姿勢に戻っていたので、覚悟を決めて入ることにしました。
1階奥のサロンに入りますと、ロシア人の女性が「ロシアのお茶とは紅茶なのです。1日に何杯も飲みます。」と日本語でプロジェクターを使ってにこやかに説明していました。サロンは2層吹抜けの空間で、天井には立派なシャンデリアが2つ付いていました。竣工時にテラスだった場所はその後の増築工事で室内空間になっていて、色とりどりのお菓子や果物の乗った円卓がたくさん並んでいました。
「あそこでお茶とお菓子を頂けるのだろう。ワルツは踊らなくても良いみたいだ。」とほっとしました。