門側の外観には、いつもの明快なデザインは感じられません。しかし、平面図を見ると、玄関裏側の居間と食堂は開口部が大胆に連続しているのがわかります。きっと、深い軒のある縁側へ大きな窓から出入りできたのではないでしょうか?裏の細道から眺められたはずなのに、うっかり見逃していました。張りだした2階で1階の雁行した和室群を被せつつ、大きな切妻屋根で全体を深く包んでいる点が、上遠野先生らしいデザインです。桂離宮がお好きだったという上遠野先生、ずらして配置した和室群はそこにヒントがある、と思うのはいつもの私の短絡的な発想であります。
こうしてじっくり平面図を見てみれば、やはり内部を拝見しておきたかったとじわじわ後悔の念が湧いてくるのです。