上遠野 徹 作品アーカイブス

katono/1975

米澤邸

katono/1975年

江別市野幌末広

2014年春解体?

三上建設㈱
 「野幌煉瓦の生産を続けてきた施主の、工場に隣接して建つこの住宅は」と、上遠野徹住宅作品集に紹介されている住宅です。だからといって、レンガ造の住宅を期待するのは、私の勝手というものでしょう。奥様が日本舞踊や華道、茶道をたしなまれていらっしゃったとのことで、大きな稽古部屋に畳部屋を5部屋、さらに洋室を4室も抱えた和風住宅の完成と相成ったのです。

在りし日の姿 2011年

2014年7月

 門側の外観には、いつもの明快なデザインは感じられません。しかし、平面図を見ると、玄関裏側の居間と食堂は開口部が大胆に連続しているのがわかります。きっと、深い軒のある縁側へ大きな窓から出入りできたのではないでしょうか?裏の細道から眺められたはずなのに、うっかり見逃していました。張りだした2階で1階の雁行した和室群を被せつつ、大きな切妻屋根で全体を深く包んでいる点が、上遠野先生らしいデザインです。桂離宮がお好きだったという上遠野先生、ずらして配置した和室群はそこにヒントがある、と思うのはいつもの私の短絡的な発想であります。

 こうしてじっくり平面図を見てみれば、やはり内部を拝見しておきたかったとじわじわ後悔の念が湧いてくるのです。
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