上遠野 徹 作品アーカイブス

katono/1976

日産ディーゼル北海道販売 西支店

katono/1976年

札幌市西区発寒11条12丁目1-40

現存

竹中工務店北海道支店

2010年 日産ディーゼル時代

2013年 UDトラックス時代

 ガラスの大開口を追求した住宅作品を作り続けた上遠野先生。その方針を推し進め、工場建築にまで取り入れた結果、このような姿で完成したと思われます。
 
 この時代の札幌でも、市民に開放された感を演出するために、外に対して開かれたガラス張りデザインが生まれ始めてはいました。しかし、この建物は工場建築なので、お客様のためというよりはそこで働く人が丸見えになっています。実存としての建築の存在を消してみたいという気持ちになられたのか、常識を破った外観を求められたのか、できることならお伺いしてみたいところです。

日産ディーゼル北海道販売西支店社屋新築記念リーフレットより

 大胆な設計もさておき、この案を承認した日産ディーゼルさんもなかなかの理解者と思います。建築の存在を消そうとする狙いは80年代に入ってから見られるようになりますが、それでも最初はアスティ45ビルのようにミラーガラスで空を映し込んだり、向かいのビルの風景を映しこむことでその存在を消したと思います。ここでは透明ガラスを採用していますので、上遠野先生独特の感性と思います。
 現在は透明ガラスにスモークフィルムが貼られていますので、凝視しなければ中を見ることはできません。日暮れに行って見てみれば、事務所内が浮かび上がっているのを確かめられるかも知れません。
 雨のそぼ降る営業時間終了間際に行ってみました。やはり夕闇に浮かび上がるこの姿を見せることが、上遠野先生の狙いだったのではないかと思われます。
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