上遠野 徹 作品アーカイブス

katono/1977

桑園教会・幼稚園

katono/1977年

札幌市中央区北7条西13丁目
 2022年6月のこと、建替のため解体を控えた桑園教会・幼稚園の見学会に参加させていただきました。

 上遠野克先生の記憶によると、牧師さんが切妻屋根ではない教会デザインを希望されたとのことでした。完成した建物は段違いの片流れ屋根をもったものになりました。外壁は重みあるタイル貼りにも関わらず隅を切り欠いて軽く見せたり、コンクリート壁面には立体感をつけて味わい深く見せたポイントなど、徹先生の仕事跡の感じはします。しかし、それまでの徹先生のデザインとはちょっと違うなと感じられたのも確かです。
 斜め方向から眺めてみると、海老茶色のタイルが貼られた部分とベージュに塗装されたコンクリート部分が元々は2つの建築だったように見えてきます。それらがまるでお互いにめり込んで合体したように感じるのは私だけでしょうか。徹先生のセンスではなさそうな、恐らくスタッフの個性が強めに出ているのではないかと思えてきます。いや、過去の作品の中にもボリュームが噛み合ったように見せたデザインはあります。しかし、今回は何かいつもと違うのです。ロボットアニメの合体シーンのような感じがすると言ったら、怒られるでしょうか。
 南面の幼稚園側の見え方には、T型をモチーフにした窓の割り付け方に徹先生のデザインを感じます。じっくり見ると色々なT型が浮かんで見えてきますが、このデザインの根源は何なのか探ってみたいです。教会礼拝堂に入る扉には、下記画像のように小さなT型の窓が開いていました。徹(TETSU)のTだったとしたら…ということはない、と思います。
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