建築年表 公共編

kochizu/1955

札幌フィルムビル

kochizu/1955年

札幌市中央区北4条東1丁目

現存せず

アントニン・レーモンド

竹中工務店北海道営業所

橋村明

 この札幌フィルムビルは、アメリカ映画のフィルムを所蔵して配給貸し出しするための建物だったそうです。外壁だけでなく内側もコンリート打ち放しだったというデザインは、アントニン・レーモンドの設計でした。現在のように大判合板の無い時代、コンクリートの型枠用パネルは小幅板を組んで制作したそうです。打ち放し面には小幅板の板目跡が写りこみ、パネル同士に生まれる出目地にも意匠の扱いが感じられます。組み立て部材も施工方法も現在のようにシステマチックではなかっただろう中、精度を追求することはかなり面倒な作業だったのではないでしょうか。施工は竹中工務店北海道営業所で、上遠野徹先生が施工担当、先輩の中井一民さんが現場所長だったそうです。

 道路側を事務所、奥側をフィルム倉庫としたという建物はコンクリートとガラス、そして恐らく鉄製の窓枠で組み立てられています。近代建築3要素を体現していますが、外観デザインはそれほど凝ったものではなく、モダニズムプンプンという感じもないようです。私はこのアングルの写真しかみたことがなくこの程度の感想しか湧いてきませんが、細部や内部に見所があるのかもしれません。

 上遠野先生はここで経験した繊細なコンクリート打ち放し工事を翌々年に設計した北海道日産自動車本社屋工事で活かしたそうです。

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