1958(S33)年に開催された北海道大博覧会。この天文台は協賛会社の雪印が博覧会のために建設をし、博覧会が閉会したのち札幌市に寄付をしたことで現在も残っている希少な建築です。

　天文台ですから手動で開閉できるドームと望遠鏡に注目がされますが、建物自体のデザインもまた魅力的です。陸屋根のある鉄筋コンクリート造の平屋で観測室と展示室（現在は事務室）の２室からなっており、入り口が三角形に飛び出しています。この三角形がとても効いていて、丘の上に建っている様子を下から見上げた時に見える星の瞬き的な立体感がかっこいいです。

　また、建物各所に穿たれた窓はランダムな配置でその形も不規則、そして部分的に飛び出ている窓枠も建物に不思議な印象を与えています。このコルビジェによるロンシャンの礼拝堂的デザインの窓は現在は塞がれていますが、当時の写真を見るとガラスがはまっているように見えます。ひょっとすると色ガラスで光を室内に導き入れていたのかもしれません。