建築年表 公共編

kochizu/1963

札幌独立キリスト教会

kochizu/1963年

札幌市中央区大通西22丁目1

現存

日建設計工務 北海道

松村組

竣工時別冊建築ジャーナル 地域の建築シリーズ/北海道 北海道日建設計の仕事 1997年 企業組合建築ジャーナル発行 より

 これぞ札幌に残る数少ないモダニズム建築、札幌独立キリスト教会。

 60年代の建築に多く見ることのできる堅牢な両袖の壁が特徴です。この教会の設計者は「神の御翼を表現する翼を広げる形態」を外観デザインに託したのだそうです。そう言われてみれば、この建物の後ろに両手を広げたイエスキリスト様の大きな姿が感じられるようです。

 その袖壁や正面にかたどられたコンクリートの目地は、コルビジェ風のあみだくじ模様となっています。その壁をつなぐ庇はギュインとせり上がっていますが、竣工時の写真を見ると荒々しいコンクリート打ち放しになっていたことがわかりました。様々な細部に設計者の好みが表れているようです。
 現在の姿は、袖壁や庇の天端に金属の部材が取り付けられていたり、素材感のあふれていたコンクリート面が綺麗な面へと改修されています。建物を痛みから守るために行われてきた改修によって、竣工時のザラリとした存在感が薄れてしまっているわけですが、これはこれでまた良いですし、現在まで大事に使われてきた証とも言えましょう。
 教会員だった親戚の叔父が亡くなったとき、ここでお葬式が行われて参列させていただきました。その時はまだ近代建築の魅力にとりつかれていなかったのですが、その独特な形や静謐な内部に忘れられない印象が残りました。そのようなことも私に建築への興味を与えてくれたきっかけになったように思われます。

月刊ダン創刊号 昭和48年8月号より

 ところで、この教会は曳家されたことがあったそうです。以前この教会が立っていた場所が道路拡張に引っかかってしまったのかも知れません。古い雑誌に掲載されていた曳家会社の広告にこの札幌独立教会を5m曳いたと書いてありました。ちなみに我が実家が洪水に見舞われた後、基礎高に改築してくれたのもこの曳家会社だったのでした。
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