2017年10月31日に閉館という報道がされていたのに、行けず仕舞いとなってしまった札幌千秋庵本店ビル。このビルの魅力は、後付感のプンプンする数々の増築跡が感じられるところです。創業場所から数度に及ぶ増築工事を繰り返したのち、1966年に完全竣工したという記録が残っています。このビルが大きくなってきた変遷を並べて見えるようにできればとても面白いと思いますが、古い写真をお持ちの方はぜひご連絡をお願いいたします。

◆本館
1921(T10)年　それまでにあったライオン食堂～今村商店の木造建物を「千秋庵」として創業。
1930(S5)年 　北隣の明星屋食料店を購入し店舗として拡張。既存棟を製菓工場とする。
1945(S20)年　国の疎開施策により一度廃業し、北海道重工業(株)へ建物を賃貸する。
1946(S21)年　製菓工場棟のみ明渡しを受け、「平山組」の施工で喫茶店として再開。
1950(S25)年　店舗側も明渡しされ、新装工事で１F菓子店舗、２Fを喫茶・レストランとする。（設計 三菱地所　施工 竹中工務店）
1956(S31)年　南隣の青柳薬局の一部を買収し、南３条通側へＲＣ造５階建の建築工事開始。（設計 三菱地所）
1959(S34)年　第２期増築工事。
1961(S36)年　南西角部分 第３期増築工事。
1962(S37)年　第１期工事の東側に第４期増築工事。
1964(S39)年　札幌駅前通側に第５期増築工事。ＲＣ造７階建、ＥＶ設置。（設計 三菱地所）
1966(S41)年　創業木造部を取壊し、第６期増築工事。ＲＣ造地下２階地上１１階となる。（設計 三菱地所　施工 戸田建設）
1969(S44)年　狸小路側のまるきゅう洋装店側へ第７期ＲＣ造２階建の増築拡張。（設計施工　佐藤建築興業）

◆別館
1968(S43)年　本店から２棟はさんで東側に別館棟竣工。ＲＣ造地下１階地上２階。（設計 三菱地所　施工 伊藤組）
1969(S44)年　第２期工事で５階建てに増築。
1970(S45)年　第３期工事。東隣にＲＣ造地下１階地上１階を増築拡張。
その後、８階まで増築し現在に至る。