失われた建築

2024

北海道建設会館

2024年
解体

2024.04.17

札幌市中央区北4条西3丁目

1966年

北海道建設コンサルタント

伊藤組土建

2024年の姿

 建設業界の関連団体や組合事務所などが入居していた北海道建設会館。元々の姿は下画像のように質実剛健な昭和スタイルだったのですが、いつのことだったのか外装がリニューアルされて黒光りするスタイリッシュな姿となっていました。解体されてしまうという噂を聞いて、私も最後の訪問をしてみました。

北海道建設コンサルタント作品集 昭和48年発行より

 このビルを設計した北海道建設コンサルタントの作品集には館内の画像もあり、剣持勇さんデザインのカブトチェアが並んだ奥にレリーフタイルの貼られた壁面のある様子が写っていました。私は、その場所を探しに行ってみようと思いました。
 お目当ての場所は最上階ホールと判明し、残念ながらイスはもうありませんでしたが、喫煙ブースの奥にレリーフタイルがちゃんと残っていました。

 さて、この北海道建設会館は閉館前に数多くのメディアに採り上げられました。その理由は国内に唯一現存していた「スターパーク」という旋回式立体駐車場があったからなのでした。
 旋回式エレベーター独特の動きは他ウェブやYOUTUBEをご覧いただくこととしまして、このエレベーターの生まれを調べてみますと、三菱重工業の広島造船所で制作されたものだということでした。三菱重工業×回転技術×造船と言われますと、戦艦造船技術の平和的応用と短絡的に発想してしまう私ですが、果たしてやはり、戦争中にはこの工場で人間魚雷が造られていたそうなのです。
 車を駐車した後は今度は人間専用のエレベーターで地上を目指して下ります。そのエレベーター後ろに階段があったことを初めて知りました。その手摺のデザインが何とも素敵な60年代風で、田上義也さん風の装飾パネルが付いていたのでした。
 「断固拒否 利権あさりのえせ同和」 

 かなりはっきりとした物言いですが、職員さんたちはこのような標語を入口に貼付けしなければならないほど対応に困る場面が多かったというのでしょうか。北海道に同和問題をからめた交渉事が存在していたとは私には信じられませんが、どのようなエセ同和交渉があったのか非常に気になるところです。
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